カガ級のスターフリート艦は、スター・フリートの歴史において特異な章を成す存在であり、戦時下における創意工夫と、適応可能な設計の持つ強靭さを証明しています。当初は四年戦争中の軽空母として構想されましたが、この多用途艦は後に軽探査巡洋艦として新たな役割を得て、時代を越えてスター・フリートの運用ニーズの隙間を埋め続けました。
起源：コヴェントリー級、キアサージ級、そして軽空母の必要性
コヴェントリー級フリゲートは2247年に就役し、哨戒や艦隊支援に適した多目的艦としてスター・フリートに導入されました。同一の船体設計を基に、キアサージ級軽巡洋艦が直接的な派生型として登場し、艦隊調整と護衛任務に対応するよう指揮能力と運用能力が強化されました。
2252年に四年戦争が勃発すると、スター・フリートは艦隊運用を支えるための空母が深刻に不足している状況に直面します。当時配備されていた重空母や攻撃空母は数が限られており、迅速な大量生産には不向きでした。そのため、緊急措置としてキアサージ級軽巡洋艦の船体を転用し、暫定的な空母ソリューションとしてKAGA級軽空母が誕生しました。
カガ級：戦争初期の暫定軽空母
KAGA級は本来の設計による空母ではなく、キアサージ級の船体を改造した即応型の艦でした。これらの艦は巡洋艦の構造フレームを保持したまま、戦闘機中隊を収容できるよう改装されました。ただし軽巡洋艦由来のため、重武装や高度な火器管制システムは備えておらず、主な任務は戦闘支援と兵站支援に限定されていました。
NCC-1590からNCC-1599までの合計10隻がこの艦級として建造され、戦争初期において軽空母として任務に就きました。しかし、最終的に生き残ったのはわずか5隻—Kaga（NCC-1590）、Hosho（NCC-1592）、Princeton（NCC-1593）、Veinticinco de Mayo（NCC-1594）、Kiev（NCC-1591）—のみでした。
戦争終盤には、より能力の高い空母設計が登場し、Kievを除く生存艦は指揮巡洋艦へと転用されました。この変更により、彼らは艦隊調整艦として、部隊の指揮や戦術的支援を担い、コンスティテューション級重巡洋艦と並んで運用されました。Kievのみは軽空母のまま運用が続けられ、最終的には2261年のアンドロメダ人の襲撃によって失われました。
新たな使命：軽探査巡洋艦
戦後、残存したカガ級艦は大規模な改修を受け、軽探査巡洋艦として再設計されました。この改装では戦闘機格納庫が拡張貨物スペース、追加の研究施設、深宇宙任務用設備に置き換えられました。これにより、コンスティテューション級に似た任務を遂行可能となり、規模は小さいながらも、辺境探索、科学研究、外交任務に最適な艦となりました。
それにもかかわらず、カガ級は比較的大型のシャトルベイを維持し、コンスティテューション級よりも多くのシャトルクラフトを搭載していました。この特徴により、惑星調査、救助活動、大量輸送を要する外交任務などに特に適していました。
再設計後の艦は名称と任務分類も変遷し、「軽空母」から「軽指揮巡洋艦」、最終的には「軽探査巡洋艦」へと転じました。Kaga（NCC-1590）、Hosho（NCC-1592）、Princeton（NCC-1593）、Veinticinco de Mayo（NCC-1594）は、23世紀末までその新たな任務を遂行し、深宇宙探査、外交活動、辺境警備において活躍を続けました。
遺産と影響
カガ級は、スター・フリートの適応力と機転を象徴する存在です。艦隊不足を補う実利的な戦時設計として始まり、やがて長きにわたって堅実な探査艦として任務を果たしたその歩みは、スター・フリート自身の進化と重なります。すなわち、即応の必要と未来への備えを両立させる姿勢です。
カガ級が示した柔軟性は、後の艦艇設計に大きな影響を与えました。そのマルチロール転換の教訓は、2260年代のミランダ級軽巡洋艦や2270年代のアヴェンジャー級重フリゲートの開発に直接貢献しました。これらの艦はどちらも汎用性とモジュール構造を備えた主力艦として、24世紀半ば以降も長く運用されました。
現在、カガ級は四年戦争における貢献のみならず、現代の多任務型スターフリート艦設計の先駆けとしても記憶されています。
